蓄熱式のメディオスターモノリスとソプラノチタニウムの違いとは・・・

最新の高性能な蓄熱式レーザー脱毛機器で有名な メディオスターモノリスとソプラノチタニウムを比較してみましょう。

医師から見て、これらのレーザー機器の性能はどうなんでしょうか。

メディオスターモノリス

波長の違いは・・・

メディオスターモノリスのレーザーの波長は808nmと940nmの2種類です。

ソプラノチタニウムのレーザーの波長は755nm、810nm、1064nmの3種類です。

波長が長くなるとレーザーは深部へ到達することができます。

こうして比べると、ソプラノチタニウムの方がより浅い部位から深い部位までレーザーの深達度を変化させています。

アレキサンドライトレーザーの波長は755nmです。

この波長はメラニンに強く吸収されてしまう特徴があります。

つまり皮膚の色によって使いづらくなってしまうのです。

これを回避するためにメディオスターモノリスは波長の長めのダイオードレーザーを主体としています。

メディオスターモノリスの808nmとソプラノチタニウムの810nmはほぼ同じレーザーと考えることが出来ます。

深部用のレーザーが940nmと1064nmで違いがありますが、実際の効果はどれほどの違いになるでしょうか。

それ程大きくはないのではないでしょうか。

ソプラノチタニウムの1064nmは男性のヒゲや硬毛化に強い定番のヤグレーザーの波長です。

その意味ではヤグレーザーを採用しているソプラノチタニウムには実績があるとも言えます。

蓄熱式脱毛のメカニズムは毛包や毛包周辺にあるバルジ領域の温度を上げて発毛に関わる細胞を変性させてしまうことによります。

発毛に関わる細胞の一部だけを中途半端に変性させてしまうと、体毛が太い毛に変化する硬毛化という現象が起きることがあります。

どちらのレーザー機器も幅広い深さに対応しているので、この硬毛化はほとんど起きないと想像されます。

むしろ、その点では双方とも硬毛化毛の治療にさえ使えるほどの性能だと思われます。

ソプラノチタニウムの方がより硬毛化に強いと考えられますが、通常の脱毛では大きな違いはなさそうです。

照射面積と照射速度の違いは・・・

メディオスターモノリスハンドピース

蓄熱式レーザー機器の特徴は低出力で高速照射することです。

連続で照射するということは皮膚の上を滑らせるようにレーザー照射面(レーザーが出て来る部分)を動かしつづける必要があります。

レーザー照射面が大きければ大きいほど、必要なエネルギー量を照射し終わるのが早くなります。

この施術効率を考えてレーザー照射面はどんどん大きく進化してきました。

ソプラノチタニウムやメディオスターモノリスはかなり大きなレーザー照射面を持つハンドピース(レーザーを打つための銃のような形の部品)を装備しています。

ハンドピースが大きくなると細かい部分の照射が難しくなるため、2つのハンドピースを使い分ける必要が出てきます。

ソプラノ、メディオスターの双方とも本体に2つのハンドピースを装着し、ボタン一つで素早く切り替えができるようになっています。

ソプラノチタニウム

メディオスターモノリスのハンドピースはS、M、L、XLと4種類のサイズがあります。

この中で最も大きいのがXLで10cm2(31.6mm×31.6mm)もの照射面積となっています。

ソプラノチタニウムにはTrioというビッグサイズハンドピースがあります。

この照射面積が4cm2です。

照射面積ではソプラノチタニウムが負けている気がしますが、そうとも言えないのです。

1秒間に照射できる回数が違うからです。

一般的な日本人の設定で考えるならメディオスターモノリスでは3Hz、ソプラノチタニウムでは10Hzでの照射となります。

照射面積×1秒間のショット数で施術の速さが分かります。

メディオスターモノリスでは照射面積が大きいけれど推奨照射速度が遅いため、1秒間に30cm2の施術速度です。

ソプラノチタニウムは1秒間に40cm2です。

ソプラノチタニウムの方がかなり早く施術できる性能を持っていると言えます。

ハンドピースのサイズが両者でここまで違うと施術する医療従事者の好みも強く出て来ます。

メディオスターモノリスではゆったりとした動きが基本になり、ソプラノチタニウムはクルクルと早く動かす方法になります。

ソプラノチタニウムの方が細やかな作業まで得意ですが、面積が広い場合には施術するのに疲れてしまうかもしれません。

照射速度はソプラノチタニウムの方が優れていると言えます。

冷却性能の違いは・・・

蓄熱式の場合は皮膚の冷却は連続的に行う必要があります。

ソプラノチタニウムもメディオスターモノリスも患者さまに触れるハンドピース部分が冷却される方式です。

ハンドピースのレーザー照射口にゼリーを塗って滑りを良くして、ゼリーによって熱伝導率を上げて皮膚の温度を効率的に下げています。

メディオスターは照射口が大きくハンドピースの動きもゆっくりです。

そのため、冷却温度は高めで広く冷却します。

一方ソプラノは照射口が小さいため、冷却部も小さくハンドピースの動きも早くなります。

そのため、ソプラノはかなり強力に冷却しています。

両者の冷却性能自体は大きくは変わらないと思います。

ただ、メディオスターの冷却システムには大きな欠陥があります。

それは照射口が大きいために起きる現象です。

照射口を取り囲むように冷却部があるのですが、レーザーを照射される皮膚と冷却部が遠くなってしまうのです。

そのため、効率よく照射口の中心部の皮膚の温度を下げることができません。

メディオスターはその結果、照射エネルギーを上げることができないのです。

FDAと厚生労働省の認可の違い・・・

医療機器にはさまざまな規制が掛かっています。

一歩間違うと人体に危害が加わってしまうことが起こりえるからです。

ソプラノチタニウムは世界的権威であるアメリカのFDAの認可を取得しています。

メディオスターモノリスはFDAだけでなく日本の厚生労働省の認可も取得しています。

これはメーカーの戦略とも関係しています。

実際に使用するにあたってFDAの認可があるくらい高性能であれば十分と考えられます。

しかし、日本で医師がソプラノチタニウムを購入しようとすると厚生労働省の認可のないソプラノチタニウムはメーカーから直接購入することはできません。

そこで医師免許を使って、医師の個人の責任の元で海外から直接仕入れる必要があるのです。

責任者は医師個人です。

メディオスターモノリスは厚生労働省の認可を取得しています。

こちらは日本国内で直接販売ができます。

機器のサポートも手厚いと言えます。

そして、万が一レーザー機器が原因で事故が起きた場合も患者さまは救済措置を受けることができるのです。

医師個人からの補償ではないので安心に繋がります。

ですが、実際にこのような機器が原因の事故は起きることはないと感じます。

いまや世界中で医療脱毛が行われていますが、このような事故を聞いたことがありません。

レーザー機器そのものが原因ではなく、それを使う施術者側の問題がほとんどではないでしょうか。

日本ではエステで医療従事者ではない無資格者がIPLによる光脱毛の施術を行っています。

これは定期的に火傷などのトラブルを引き起こしています。

これについても機器の問題ではなく施術者側の要因が大きいのではないでしょうか。

FDAの認可や厚生労働省の機器に対する認可の違いはあまり気にする必要はないと考えます。

以上、さまざまな角度から メディオスターモノリスとソプラノチタニウムを比較してみました。